後遺障害への対象
交通事故が起こった場合、不運にも後遺障害が残ってしまうケースがあります。その場合は不運を嘆くだけでなく、適切な対処をすることが重要です。そう言われても、どのような手順を踏めば良いのか分からない人がほとんどでしょう。事故に遭ってからでは、そのような情報を十分に集めるのは難しくなります。前もって対処の方法について把握しておくことが大事です。
基本的な流れとして、後遺障害に関する等級の申請を検討していく必要があります。いい加減に進めてしまうと、妥当ではない結果に終わってしまう恐れがあるので要注意です。症状や体の箇所ごとに適した内容の検査を受けることが欠かせません。最初にすべきなのは正しい検査を行える医師を見付けることです。経験不足の医師に診てもらうと、正しい検査結果を得られない可能性があるので注意しましょう。さらに、いきなり検査を受けるのではなく、弁護士に相談しておくのも一つの手です。交通事故を扱った経験が豊富な弁護士であれば、検査のポイントについてアドバイスをしてくれます。つまり経験豊富な医師と弁護士を見つけると、抜かりの無い検査を受けやすくなるということです。検査が完了すると、それをもとに医師が診断書を書いてくれます。自賠責保険の会社に診断書を提出することで申請を行うことになります。
等級を上げる
ただし、この段階で注意しなければならない点があります。それは手間の省略と等級のアップの選択です。前者を優先するのであれば、保険会社を通すスタンスで申請します。つまり自分は診断書を保険会社に渡すだけでよく、後の面倒な手続きは保険会社が行ってくれます。そのため、ほとんど手間がかかりませんが、保険会社が主導する形で事が運んでしまいます。言い換えると、自分の意思が反映されにくいので、認定される内容が保険会社にとって有利になりがちです。そのような結果になるのを避けたいなら、自分で最後まで申請を行う方法もあります。自分の望む等級に認定されるための対策を行いやすいことが大きなメリットです。たとえば、等級の裏付けとなる証拠を事前に用意するパターンが考えられます。ただし、こちらの方法は申請を行うための知識と手間が必要です。素人では分かりにくいことが多いですし、後遺障害のある状態ではなおさら難しいでしょう。そのため、自分で行うのではなく最初から弁護士に依頼するのが理想です。
損害賠償請求を行える範囲
また損害賠償の請求を行える範囲について把握しておきましょう。入院費や治療費以外にも請求できるお金があります。たとえば交通費もその一つであり、治療する施設に行くのにかかった費用を全額支払ってもらえます。ただし不必要な手段を使った場合は対象外になるケースもあるので気を付けてください。バスで行けるのにタクシーを利用した場合は、特別な理由がないと支払ってもらえない恐れがあります。さらに後遺障害のために仕事を休まざるを得なかった場合は、それによって生じた損害の補填を請求できます。特に自営業の場合は、収入が完全に途絶えることもあるので非常に大切なポイントといえるでしょう。
これまでに生じた損害だけでなく、将来的に生じると予想される損害についても請求できる可能性があります。後遺障害がなければ得られるはずであった収入を請求できるケースがあるのです。将来という観点からは、今後必要になると考えられる介護の費用を請求できるケースも見受けられます。また後遺障害が残ったせいで、住まいをバリアフリーの設計にリフォームする必要がある場合も同様です。このような将来に関する請求は必ずしも通るとは限りませんが、見落としやすいポイントなので確認する意識を持っておきましょう。