この文を読んでいるあなたは、交通事故の被害者かそのご家族でしょう。被害にあったら、まず病院に行くのは当然ですが、もう一つ現実的な対処として法律相談があります。法律相談は落ち度がある加害者側がするのではないかとお思いになるのも無理はないですが、実際、被害者側が不利に取り扱われることがあるのです。それは、過失割合の認定がカギになります。被害者側が損しないために、少し本文にお付き合いください。
過失の有無
交通事故では、過失の有無が問題となります。交通事故は加害者が過失によって起こした不法行為ですが、被害者にも落ち度があるのではという視点が民法上存在します。被害者にも過失がありそれが数値化されるという発想です。そこでは、加害者が7悪く、被害者が3悪いという風に保険会社により示された示談金で賠償額が落ち着くことにもなりかねません。こうなると、被害者は、過失相殺により被害額の全額を得られなくなる可能性も出てきて、たまったものではないことになります。社会的フィルターを通して、被害が軽く見積もられるともいえるからです。
そもそも、被害者は民法の不法行為の項を根拠に多くの請求ができます。被害者の苦痛に対する慰謝料、治療費、逸失利益、機会損失などに相当する金銭です。履行利益と法律用語でいいますが、被害者側は、実際交通事故に遭わなければ受けられていた利益をすべて受けられるのが原則なのです。しかし、被害者の過失が認定されると不法行為に関連する補償が一気に減ってしまうのです。被害者側の過失を、加害者側が主張すると、法的知識のない被害者は、尻込みし泣き寝入りすることにもなりかねません。
では、被害者はどうやって、正当な権利をアピールすればよいのでしょうか。そこで、弁護士の出番と言いたいのですが、その前に現場の写真を押さえたり、目撃者を確保することが重要です。現場の写真は、重要な証拠でありますし、目撃者はいざ訴訟に持ち込もうとする場合、証人にもなりえる存在です。不利な認定をされないために、是非とも確保しておきましょう。そして、加害者が被害者に過失があるといってきたり、また保険会社が被害者に不当な扱いを行ったとき、弁護士の力が必要となります。
専門家に相談を
弁護士は、数多くの不法行為事案を扱ってきており、過失割合が保険会社の恣意的な操作で認定されることも経験しています。そういった場合に、弁護士は、示談のやり直しや民事調停や最終的には民事訴訟を用いて、被害者の権利を守るのです。過失割合は、客観的相当因果関係(誰が見ても真っ当な原因と結果の関係)により認定すべきですが、保険会社はあくまでも営利を目的とした法人で、事実認定を客観的に行うわけではないのです。弁護士が間に入り、また場合によっては司法の判断を仰いで正当な解決を図るべきなのです。
最近では、弁護士はより身近な存在になってきました。街の法務ドクターという言葉でもいい表されるように、交通事故の被害者にとって医者とともに弁護士が力となる時代だといえるでしょう。あなたは、弁護士に気軽に相談することができるのです。